【ライター記事】転勤・長期出張で行った先のパチンコ・スロット日記~福島編~【旅打ち養分さん】
俺の名前は旅打ち養分。
俺の仕事は現場監督と言われている。
正確に言うと現場代理人と言う。俺の場合は橋梁や高速道路などがメインで自分の担当する工程によってはサーカス団並みに引っ越しをする。
ひどい時は年に3回引っ越しするときもある。コロナ前は海外に行かされそうになったこともある。
体力勝負だと最初に思い浮かぶかもしれないが精神勝負なのだ。物件探しは会社に任せるか自分で探すか選べるが荷造り、ネット回線、ライフラインの手続きだけでも精神的にキツイ。
だいたい辞めていく人は引っ越しが多く家族や友人と離れ、仕事以外の人と話すこともしなくなり心を病んで自分の地元の建設業へ転職していく。
そんな中、心を折れずにいられる人は「何か」をそれぞれ持っているものである。
ある人は写真が好きで転勤になると転勤先で写真好きが仲間を募集するサイトで仲間を見つける。
またある人はジャズを演奏するのが大好きでサックスを持ち歩き転勤を命じられると転勤先の町にあるジャズバーや楽器店を調べそこに通いセッション仲間に入れてもらう。
その土地のキャバクラで人と会話することを楽しむ人もいる。
もっぱら俺の場合はひたすら転勤した土地でスロットを打つ。今回はそんな連中の中で特殊なA君の話をしようと思う。
A君は俺がこの会社に転職する5年前に入社した年は下でも先輩だ。A君と出会ったのは福島の現場事務所だった。
お昼休みにA君が食事の後に歯磨きセットを引き出しから取った時に、畳んだ日本地図が落ちた。A君はそのまま外に歯磨きに行ってしまった。
拾ってみるとちゃんと日本地図を CAD(図面などを書くソフト)でスキャニングしてなにやらハッチング(色塗り)をしている。
これは何か仕事的なことなんだろうなぐらいに思って A 君の机の上に置いておいた。
A君が帰ってきた。
彼は今何て言った?47都道府県の素人女性とエ〇チして全国制覇だと…!?しかもこだわりが半端ねぇじゃねぇか!
コイツは何を言ってるんだ?まだお昼だぞ?コイツはシラフで何を言っているんだ。甲子園って言ってるから聞こえはいいが、冷静に考えるととんでもない話である。
余談だが現場事務所は近くの電線から電気工事で電気を供給してもらうんだけど、現場によってはTVやネットの配線ができない現場もある。
この福島の現場は田んぼと河川しかなく昼休みは朝のラジオ体操用のラジカセでFM福島を聞きながら休憩をしていた。
この話をしてる時にちょうど岡村孝子の「夢をあきらめないで」が流れていた。
あ~なたの夢をあきらめないで~
あ~つく生き~る瞳が好きだわ~
コイツの夢は諦めたほうが世の中の為なんじゃないだろうか。できれば熱くも語ってほしくない。
そう思いながら、俺は頭の中を整理した。俺の方が人生の先輩だ。ここはうろたえてはいけない。冷静な対応をするんだ。
パチンコの海物語で言えば「魚群が出た程度の事だ」享楽の台なら「ゼブラ柄が出た」だけだ。俺は平静を装い日本地図を見直した。
しまった…!
気付いたらガッツリ食いついてしまっている俺がそこにはいた。
…めちゃくちゃ喋るじゃないか。
なるほどな。でも俺は同じ金と時間と労力を使うならスロット打ってたほうが楽しいんだよなー(養分思考)
でも何かのネタになるかもと内心思った。そしてなにより福島の現場で仕事以外の話をする人がA君ぐらいしかいなかった。
こうしてこれから A 君の「47都道府県の素人とエ〇チするぞ甲子園全国制覇の夢」を3か月に及んで聞くことになる。
体験談は実際に俺が体験していないのでこれ以上は書けないが、転勤族の俺が体験した奇妙なできことを番外編でたまには書いていこうと思う。